最高裁判所第三小法廷 昭和34年(あ)2422号 判決 1960年4月05日
主文
本件上告を棄却する。
当審における訴訟費用は被告の負担とする。
理由
弁護人佐々野虎一の上告趣意一について。
所論は、本件被告人のように前科あるにかかわらずなお犯罪を重ねる者は精神的病弱者であって刑罰に処すべきものではないとする独自の見解を前提として憲法違反をいうもので、適法な上告理由に当らない。
同二、三について。
所論中、累犯加重に関する刑法五六条、五七条の規定が憲法一四条に違反するものでないことは、当裁判所の判例とするところであり(昭和二四年新(れ)第八八号、同二五年一月二四日第三小法廷判決、集四巻一号五四頁、昭和二三年(れ)第四三五号同年一〇月六日大法廷判決、集二巻一一号一二七五頁)、また、簡易裁判所の管轄を定めた裁判所法三三条の規定が憲法に違反するものでないことは、下級裁判所の管轄をいかに定めるかは、諸般の事情を勘案して決定せられるべき立法政策の問題であって、憲法適否の問題でないとする当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第五六号、同二三年二月六日大法廷判決、集二巻二三頁)の趣旨とするところである。それ故論旨は採るをえない。
同四は、量刑不当の主張であって刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
よって同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 垂水克己 裁判官 高橋 潔 裁判官 石坂修一)